【進路探求】広島テレビ放送株式会社 庭田杏珠さん
11月26日(水)の7時間目に、中学1年生から高校1年生までを対象とした進路講演会を行いました。今回は、広島テレビ放送株式会社の報道記者・ディレクターであり、「peace artist」としても活躍されている庭田杏珠(にわた あんじゅ)さんをお招きいたしました。庭田さんには、「記憶の解凍」-色を取り戻した写真が語る戦争と平和、というテーマで、戦前から戦後にかけての白黒写真に色をよみがえらせる際の制作の舞台裏や、当時を知る人々への対話・取材を通して見えてきた「平和を伝えることの意味」について、わかりやすくお話しいただきました。広島への原爆投下前の日常の写真に焦点を当ててご説明いただきましたが、白黒写真のカラー化においてAI技術で自動カラー化できるのは1割程度で、残りは写真提供者との対話、資料分析、SNSでの時代考証などを踏まえて手作業で補正する必要があるとのことでした。庭田さんが、戦争当時の記憶を持つ人たちの想いを大切にし、戦争の記憶を「自分ごと」としてとらえて多くの人に知ってもらいたいという強い思いをもって「記憶の解凍」に取り組まれていることが伝わってきました。また庭田さんからは、「戦争とは平和な日常を一瞬で壊してしまう恐ろしいものであり、被爆前には今の私たちと変わらない暮らしがあって、それがたった一発の原子爆弾で一瞬のうちに奪われたのだという事実を自分ごととしてとらえ、自分の得意な方法で大切な友人や家族に伝えていってもらえるとうれしいです」という、北嶺生へのメッセージもいただきました。さらに、著書『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(共著、光文社新書)をご寄贈いただきました。また、庭田さんの「記憶の解凍」の取り組みを描いた映画が、12月19日~25日に広島の「八丁座」で上映される予定です。今年は終戦80周年を迎えます。当時の戦争体験者の「想い」や「記憶」を継承し、戦争や平和についてじっくり考える機会を大切にしていきたいものです。


